導入事例

シックス・アパート株式会社様 (UNIBaaS)

Movable Typeのクラウド化で攻勢をかけるシックス・アパート! 代表取締役CEO関氏にインタビュー

シックス・アパート様のMovable Typeといえば、ブログツールの草分け的存在として有名です。最近では、ブログ以外のWebページや複数サイトを管理できるCMSとして、多くの企業や組織で利用されています。2012年9月にSaaSとして提供するクラウド版のMovableType EZをスタートさせ、そのプラットフォームとしてセルフクラウドをご利用いただいています。さらに、2012年12月17日に、新たなサービスUNIBaaSを展開し、そのインフラとしてもご採用いただきました。
【クラウドサービス事例】 SaaS展開用プラットフォーム

※導入時はセルフクラウド、現在はIDCFクラウドへ全面移行していただいてます。

ビジネス管理とサーバー管理を統合する新サービス

この度はご採用いただきありがとうございます。まずは御社のビジネスについてお聞かせください。

シックス・アパートは2001年に米国シリコンバレーで設立された会社で、もともとブログを中心に製品を開発していました。日本法人ができたのは2003年の12月で、最初の海外の支社です。その後、2010年の9月に米国のSix Apartが企業合併してSay Mediaという会社になり、2011年1月に日本法人は日本のインフォコム社が買収しました。その際、Six ApartのブランドとMovable Typeを日本法人が買い取りました。というわけで、現在、シックス・アパートという会社は日本企業として事業を展開しています。

Movable Typeは、もともとブログのツールとして2001年の10月に公開されたものです。現在はバージョン5.2ですが、複数のユーザーを登録して、「下書きまでできる」「それを承認して記事の公開までできる」といった権限を持たせることができ、バージョン5からはCMSと名乗るようになっています。ユーザーとしては、個人ブロガーの方もいますし、官公庁や大企業、多くの大学でもご利用いただいています。有名なところでは、ローソン様の事例は取材などもされました。

Movable Type EZはIDCフロンティアのクラウドサービスをご利用いただいていますが、どのような背景があったのでしょうか。

Movable Typeはソフトウェアなので、インストールやセットアップに多少の知識が必要です。特にセキュリティなどを考えますと、適切な設定で運用するにはそれなりの技術的な知識が必要になります。そこで、インストールおよび各種設定済みの状態にして、仮想マシンとしてご提供するサービスを開始しました。これは、バージョンアップやセキュリティパッチの適用を自動で行うようになっていますので、常に最新の状態でMovable Typeをご利用いただけます。

UNIBaaSというのはどのようなサービスでしょうか。

ProNetと呼んでいますが、現在350社くらいのProNet会員がいらっしゃいます。そういう方々はWebデザインが本業ですので、サーバーのセットアップの部分はオペレーション的にもコスト的にも負担になっていました。それを軽減する目的もあります。そういう方々がよりビジネスを展開しやすいようにするプラットフォームとして開発したのがUNIBaaSで、これらの負担を軽減する狙いがあるのです。UNIBaaSは造語で、UNIはUnited、Uniqueなどを表し、BaaSはBusiness as a Serviceを意味しています。

代表取締役CEO 関氏
代表取締役CEO 関氏

我々はMovable Type EZをSaaSとして提供していますが、UNIBaaSは各ProNet会員がそれぞれ独自のSaaSを展開できるようなプラットフォームです。インフラまわりの面倒なことはできるだけしないで済むようにしてあります。ProNet会員は、顧客管理システムとしてメジャーなSalesforceを使って、顧客情報の登録と同様の画面からサイト作成のボタンを押すことでMovable Typeの仮想マシンが立ち上がります。これも、さまざまなタイプのテンプレートを我々が用意しますので、すぐに必要な構成のサイトができます。それをデザインしたり機能追加して客先に提案すればよいのです。そのようなサイトをSaleforceからいくつでも作成でき、顧客管理と同じようにサイト管理を行うことができます。

もうひとつProNet会員から要望のあった機能が、ソフトウェアの更新などを自動で行うのではなくコントロールしたいというものです。サイトの状況によっては、更新処理が走って欲しくないタイミングもありますので、それをサイトの都合に合わせて実行することができます。

UNIBaaSを利用するメリットですが、顧客獲得の場面では2つあります。まず、ProNet会員が見込み客に対してWebサイトを提案する場合、パワーポイントで資料を作ったりもしますが、それだけではイメージしにくいので、通常はデモサイトを構築します。その時、ソフトウェアであればサーバーの調達やセットアップといったコストや手間が必要になりますが、UNIBaaSを使用すればそれがほぼゼロで済みます。

また、提案用デモ環境をお客様が実際に使っているかどうかはこれまで分かりにくかったのですが、UNIBaaSではいつどのくらいの記事が作成されたか、画像がいくつアップロードされたかといったことをProNet会員が確認することができます。購入期待値が可視化されるわけです。

フォローアップの電話をどこにかけるかは、これまで営業マンの勘に頼るしかなかったのですが、そこに定量的なデータという判断材料を追加することができます。既存顧客についても、利用状況が確認できるので、サーバーの追加や機能追加などを先手を打って提案できます。

1社1台だから止まってはいけない

インフラ選定のポイントはどのような点でしたか。

ひとつはHA構成(High Availability)になっていることです。Webサーバーやデータベースをたくさん並べて、どれかひとつが止まっても他でカバーするというタイプの使い方ではなく、UNIBaaSではProNet会員の顧客1社に対して1台の仮想マシンを使います。それが止まるとお客様のビジネスに大きなダメージがありますから、もしハードウェアトラブルがあっても冗長化されたマシンに切り替わるHA構成であることが一番重要でした。

もうひとつは、技術的な継続性です。つまり、どんなに素晴らしい技術でも「我が社が開発した新技術です」というような場合、来年どうなっているか分からないというのがIT業界です。その点、IDCフロンティアのクラウドは仮想化技術にVMware、クラウド基盤ソフトウェアにCloudStackという、今では業界のデファクトスタンダードとも目されている技術を利用していますから安心できます。もっとも、取り組み始めたのは1年前なので、その時はどうなるか分からなかったのですが。

IDCフロンティアは、今年の米国Citrix社のInnovation Awardでもノミネートされて最後まで残っていましたし、もともと技術的な評価はあったと思っています。ただ、構成が良くても実際はどうなのかということもあります。IDCフロンティアは、スペックだけでなく、どのくらい本気で取り組んでいるかということでも業界の評判が良かったので、信頼性があると思いました。営業の担当者も親身になって一緒に取り組んでくれた点も大きかったですね。

導入に際してこだわったのはどのようなことですか。

常務執行役員COO 古賀氏
常務執行役員COO 古賀氏

当社のお客様であるProNet会員の業務フローが、仮想化技術との融合によって合理化されることです。顧客管理はSaleForceのようなCMSで電子化されていますが、通常の商材は物理的に存在しているのでその管理とは別の物にならざるを得ません。しかし、クラウド化によって、商材であるサーバーの管理と顧客管理を同列にすることができるようになりました。これによって、ProNet会員のビジネスがさらに広がることを目指しています。

導入の際に苦労した点などはありますか。

クラウドでは自動化が必要ですから、プログラム通しで機能を呼び出すAPIが重要です。実はそのAPIでいくつかトラブルがありました。例えば、テンプレートを作るにはUForge Builderという技術を利用しているのですが、CloudStackのAPIに対応しているはずが、実はVMware版CloudStackには対応していなかったということがありました。他にも、CloudStackの細かいバグが見つかり、IDCフロンティアでは対応のプライオリティが低かったものがUNIBaaSには重大な影響があり、IDCフロンティアがCitrixs社側に強く要求してくれて、ひとつずつ改善していきました。

Movable Typeとクラウドを繋ぐことに加えて、まったく別のアーキテクチャで作られているSaleForceを繋ぎ込むことで、さらに複雑な要素が発生し、それぞれのAPI制限に振り回されてユーザビリティの視点が欠けそうになることもありました。大変だろうと覚悟はしていましたが、本当に大変でした。新しいものを使うのは、うまくいけば非常にアドバンテージがあるが、実際の現場では苦労します。それを乗り越えるために一緒に取り組んでもらったのが、IDCフロンティアがパートナーでよかったと思うところです。

クラウド管理システムを含めてサービスとして提供

UNIBaaSシステム構成概略

システム構成の概略と特長を教えていただけますか。

事業開発シニアコンサルタント 作村氏
事業開発シニアコンサルタント 作村氏

上図で左側にProNet会員がいます。ProNet会員はSalesforceの顧客管理画面からMovableTypeが展開された仮想マシンを作成し、そこにデザインなどを施してエンドユーザーである彼らの顧客(Movable Type利用者)に納品します。記事の投稿などはエンドユーザーが直接自分で行えます。機能追加などはProNet会員がその仮想マシンに対して行いますが、さまざまなアップデートはそのタイミングなどをエコシステムという仮想マシン管理用のエージェントに対して指示します。真ん中のリポジトリサーバーにはMovable Typeの各バージョンなどが個別にストックされていて、そこからアップデートをダウンロードしてきます。右側のシックス・アパートは、全体の管理システムとDNSなどのサービスとの接続、UForge Builderによるテンプレートの作成などを行います。

制作案件を提案する場合、まずSalesforce上に利用者Aさんの基本情報を登録します。その画面上でAさんに提案用の「仮想マシンを作る」というボタンを押すと、Aさん専用の仮想マシンが立ち上がります。制作後、Movable Typeサインイン用のユーザーID/パスワードとログイン用のURLを送ることで、利用者AさんはMovable Typeを触ることができます。

特徴的なのは、SaaSを管理するシステムを含めたサービスを提供している点です。これまでは、サービス用仮想マシンを提供するSaaSだけでしたが、ProNet会員がそれを管理できるとともに、SaleForceと連携しているので通常のCRMとの統合管理が可能になります。顧客管理や課金システムなどと一体になっているのです。仮想マシンも最新の状態を保つことができます。

海外への展開も視野に

今後の展望を教えてください。

クラウドの課題として課金があると思っています。2社間の直接契約なら分かりやすいのですが、二階層あるいは数階層になると、ビジネスがあっという間に破綻してしまいます。その場合は間に入る企業にしわ寄せが行きますが、日本は複数階層のビジネスの伝統があり、そういう中小企業が多い。UNIBaaSはシステム側で課金ロジックを入れ、できるだけ負担にならないように使った分だけ支払いというところまで作り込んでいます。これによって、複数階層の商用でクラウドの販売を活発にしていきたいと思っています。
今は法人向けクラウドというとIaaSの部分だけがクローズアップされて、価格のみに目が行きがちです。しかし、SaaSとしてクラウドを利用することで、企業ではそれまでよりもコスト削減できたり、それまでできなかったことができるようになります。そこには、単純な価格競争ではない論理があるはずです。そういうことを社会にもっと知ってもらうためには、分かりやすいアプリケーションやサービスがどんどん出てくることが必要だと思うので、そういう取り組みを今後もさらにやっていきたいと思っています。また、海外への展開も考えています。

同様の導入を検討されている企業へのアドバイスをお願いします。

UNIBaaSのようなものはとてつもなく大変なので、弊社システムへの相乗りをご提案します(笑)。SaaSということでしたら、やはりHA構成などのシステムの安定性、担当者のコミット度合いなどがポイントでしょう。

IDCフロンティアに期待することはありますか。

ひとつは、法人向けクラウドについてのユーザーの意識改革を一緒にやっていきましょうということです。また、IDCフロンティアはソフトバンクグループやYahoo! JAPANグループとしてのブランド力もあるので、そのマーケティング力にも期待しています。あとは、米国進出をして欲しいです。我々は米国にこのサービスを展開するつもりです。米国ではデータが国内になければならないなどのルールもありますし、レイテンシーの問題もあるので、米国のデータセンターを使うことになるでしょう。その時に、既に一緒に構築したのと同様の構成や、現地でのデータセンターサービスがあれば助かります。

<クラウド型 Movable Type 販売支援プラットフォーム「Six Apart UNIBaaS」>

シックス・アパート様のパートナー企業(ProNet)のお客様にクラウド型サービスを直接展開できる仕組みを提供する、WEB制作業務支援プラットフォームです。SalesforceとMovable Typeが融合されたクラウドプラットフォーム上で、サイト制作業務の管理プロセス(見込顧客獲得から納品まで)、評価尺度(顧客の購入期待値や予実分析)、テクノロジ(CMSとクラウド)を一貫した形でご利用いただけます。
クラウド基盤には、セルフクラウドをご利用いただいています。

導入企業様 会社概要

導入企業様 会社概要
会社名 シックス・アパート株式会社
設立 2003年12月
代表取締役CEO 関 信浩
事業内容 インターネット上のウェブサイト構築・管理のための技術の開発と、関連する製品・サービスやコンサルテーションの提供
URL http://www.sixapart.jp/新規ウィンドウを開きます

掲載内容は、本事例の掲載日2013年1月17日時点の情報です。

記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。

2013年01月17日掲載